書作品の表具、裏打ち作業

展覧会に出品する作品の額装のお手伝いをしていました。

納期までの期間が短くてなかなか大変でしたが急いで作業して失敗してはいけません。特に裏打ち作業で作品を滲ませてしまった場合、表具店では修復不可能ですので書き直しをお願いすることがあります。それをお客様にお伝えするのは非常に心苦しいので滲まないように裏打ち前にテストしています。


上の写真は濡らした綿棒を墨に少しあててチェックしているところですが、水分で流れた墨が綿棒に吸収されています。この作品は滲む可能性が高いです。

全体を湿らせてティッシュを押し当てると文字が転写されました。youtubeなどでは裏打ちのやり方として本紙に糊を塗ったり、作業台に作品がベッタリ引っ付くくらい水をかける方法が紹介されていますが、その方法でこの作品を裏打ちした場合高確率で滲んでしまうと思います。糊を付けるのは裏打ち紙のがわです。ですがご家庭で裏打ちをされる場合、ご自分で書いた作品か親しい方の作品かと思われますのでそれでも問題ないのかもしれませんね。

滲みやすい墨だとわかった場合

・作品に滲み止めをかける、

・作品の下に水分を吸収しやすい紙をひく

・作品にかける水は少なめ

これでほとんどの場合防げるとおもいます。

作品の裏打ちを180点程しましたが墨を滲ませる事なく納期にも間に合いましたのでホッとしました。